マイナス金利とは

投資
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マイナス金利とは、民間銀行の日銀当座預金口座にあるお金に対して、-1%の金利を課す政策のことです。つまり、民間銀行は今まで日銀の口座にお金を預けているだけで「利子」という収益が上がっていましたが、今度は逆に日銀の口座にお金を預けているだけで「利息」がつきお金が減ってしまうのです。

そのため、民間銀行は民間企業や民間人への貸し出しを増やすことになり、お金が世の中に出回ります。そうなると、お金の価値が下がり物価が上がるという「インフレ」状態になるのです。日銀はこのインフレ状態を狙ってマイナス金利政策を導入したのです。

マイナス金利が導入されるとどうなる?

マイナス金利政策が導入されると、上述したようにインフレ誘導が起こります。また、お金が世の中に回るということで、単純に日本全体の景気が向上する可能性があるのです。

また、金利が下がると円を持っていても利益を生み出すことが困難になるため、円を売る人が増えます。つまり、円安になるということなので、株価も上がり、外国人観光客が増えるという日本にとって良いことが起こりやすいのです。

さらに、マイナス金利に連動して住宅ローン金利なども下がることがありますので、民間企業や民間人は低金利で借り入れができることもあります。

利上げ

2024年3月の金融政策決定会合で、日銀はマイナス金利の解除を決めました。長く低金利が続いていた日本において、17年ぶりの利上げとなります。

2023年4月、日銀の第32代総裁に就任した植田和男氏は、マイナス金利解除を決めた理由として「賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきている」と述べています

新型コロナウイルス禍以降、雇用が回復し人手不足による人件費が高騰。さらに円安による輸入品価格の上昇や、世界情勢の混乱によるエネルギー価格高騰で、生鮮食品を除いた消費者物価指数が41年ぶりの水準となるなど、マイナス金利解除に踏み切る下地は整いつつあったと言えるでしょう。

マイナス金利導入のきっかけとなった日本の不況

1985年、当時貿易赤字の問題を抱えていたアメリカは、過度なドル高是正を解消するために日本を含む先進5か国に呼びかけ、プラザ合意を発表しました。これを機に日本では円高が進み、輸出が減少したことから、景気の低迷期に入ります。

日銀は景気の低迷の打開策として、金融緩和政策をおこないました。この金融緩和政策により公定歩合(当時の代表的な政策金利)を下げ、お金を借りやすくなった企業は、積極的に事業に投資をして景気が回復していきます。

また低金利でお金を借りれることや、景気回復で余剰資金が生まれたことを背景に、企業や個人は投資目的で積極的に不動産や株式を購入し、価格はどんどん上昇していきました。

やがて株式や不動産の価格は実態とかけ離れたものになってしまい、景気の過熱感を抑えるために日銀は1989年より金融引き締めを実施します。しかし金融引き締めにより株式や不動産取引が停滞し、価格が暴落しました。

資産価格が実態の価値以上に膨らんでいる経済状態は、「バブル経済」と言われ、日銀の金融引き締めを機にバブル経済は崩壊、以降、日本は長期の不況・デフレ局面に入ります。

不況・デフレ脱却に向けてマイナス金利導入へ

マイナス金利導入のきっかけとなったのは、2012年12月の総選挙で圧勝した安倍晋三政権の誕生でした。自民党は不況・デフレ脱却のために「大胆な金融政策」「機動的な財政出動」「民間投資を呼び起こす成長戦略」、いわゆる「3本の矢」を掲げ、「大胆な金融政策」が翌年より実行されることになります。

2013年4月に黒田東彦(くろだはるひこ)氏が日銀総裁に就任。「世の中に流すお金の量を2倍にし、物価上昇率2%を目指す」と宣言しました。

しかし国債の買い入れなどで世の中にお金を流したものの、結果が出ず目標の2%には届きませんでした。そこで日銀は、2016年1月の金融政策決定会合で、政策金利をゼロよりも低くする「マイナス金利」の導入を決定します。

日本におけるマイナス金利とは、民間金融機関が日銀の当座預金に預けるときの預金金利をマイナスにすることです。

つまり、日銀に余分なお金を預けておくと、民間金融機関は金利を支払わなくてはなりません。そのため民間金融機関のお金は、投資や融資などで世の中に回り、景気回復・物価上昇に繋がると考えられていたのです。

マイナス金利の効果は?

マイナス金利導入により、住宅ローンの金利が低下し、住宅を購入しやすくなった、円安になり、輸出業の収益が改善し株高になったなどのよい効果もありました。

しかし一方で、預金金利の低下や、民間金融機関の収益悪化などの副作用も引き起こしました。

バブル崩壊後、日本は低金利が続きましたが、長期間続いたために資金需要は低下。景気の回復も限定的で、従業員の賃金も上がらず消費が縮小し、物価も上昇しないという悪循環が生じていました。

1987年~2022年の35年間で、日本の物価は約2割上昇しています。したがって日銀の金融緩和政策は効果がなかったわけではありません。ただし日本以外のG7は同期比で2~2.5倍に増加していることを考えると、マイナス金利の効果については意見が分かれるところでしょう。

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